仔犬や仔猫などのゴールデンタイムについて・・・その3
続きのコラムです。(ワンちゃんについてのお話になります。ネコちゃんについてのトイレや甘噛みのお話しは以前のコラムを参照して下さい。)
□ 「トイレのしつけ」について
トイレを覚えさせる事で重要な事
・家に来たその日から
仔犬が家に来たその日から、トイレのしつけは始まっています。
残念ながら、仔犬が家の中で、何もせず勝手にトイレを覚えることは通常はありません。
全ては、お家の方の努力次第です。この時がまさに「ゴールデンタイム」と言えます。
・早く覚えさせればその後は楽ですが、時間がかかればかかるほど、お家の方は大変になって行きます。
お家の方が頑張って、仔犬が学習を繰り返しトイレを早く覚えてくれれば、お家の方がトイレ以外の場所の掃除に追われる事は無くなります。
トイレを覚えられずに成犬になり、さらに繰り返していくと、お家の方の掃除は続くことになります。
・「トイレを覚えた」と言えるのは、家の中では「完全にトイレだけで排泄をして、トイレ以外ではしない事」を指します。
よく耳にするのが、「たまに失敗するけど、大体トイレは覚えました」・・・・
残念ながら、この「たまに失敗する」は、「覚えてない」と言うのと同じ事を意味します。
この様な場合、そのまま成犬になって、トイレでもするけど、トイレ以外でも排泄する事になります。
また、様々な要因から起こる「マーキング」も、トイレを完全に覚えてない場合に起こりやすいと考えられます。トイレが完全で無いまま「マーキング」を始めると、問題はより複雑になっていきます。
トイレのしつけ、覚えさせ方は?
トイレのしつけに、皆さんが期待する?簡単で裏技的な方法は、、、、残念ながらありません。
犬をサークルなどから出して、部屋の中を自由にさせている間は、常に目を離してはいけません。
「排泄しそうな仕草」をよく観察して、「排泄しそう」になったら、そのままトイレへ連れて行きます。
出来るだけ、1日の中で、排泄する事の多い時間帯を確認して予想すると、よりスムーズにトイレへ連れて行けるかもしれません。排泄が上手く出来たら、よく褒めてあげてから、ご褒美を与えます。
(注意!:必ず先に褒めてから、次にご褒美です。順番が逆になると、効果がありません。また、徐々に褒めるだけにしてご褒美は無しの回数をランダムに増やしていき、最終的にはご褒美は無しで褒めるだけにしましょう。)
これがトイレのしつけの王道であり、唯一の方法です。
同じようにやっているのに、何故か、出来ないと、思われるかもしれません。
トイレを中々覚えてくれない! と言う事には、必ず何らかの理由が考えられます。
繰り返しになりますが、上手くいってないな?と、思ったら、必ず動物病院へ相談に行って下さい。
トイレ以外の場所で排泄をすればするほど、その事を学習していきます。
□ 甘噛みについて
ネットで「甘噛み」を検索すると、様々な記事が出てきます。
色々な情報がありますが、一番理解して頂きたい事は、「甘噛み(じゃれたり遊んだりしながら噛みつく)を人の手足にさせることは、初めからやらせてはイケない」と言う事です。
犬がまだ小さかったり、力が弱いうちは、よく人の手を使って遊んでしまいがちです。
そのうち、力が強くなったり、動きが激しくなってきて、「痛いから止めさせたい!」と言うご相談をよく受けますが、覚えさせてから、それをさせない様にすると言う事は難しい事になります。(だから、しょうがない、ということではありません)
人の手足を使って「甘噛み」をしていると、「人の手足は噛んで遊ぶもの、噛んでも良いもの」と、理解してしまい、成犬なってから、何かをきっかけに全くためらうこと無く、人が怪我を負ってしまうほどの強さで噛んでしまう事に繋がってしまいます。
仔犬は、母犬や兄弟等と遊びを通じて「噛む加減」や「噛まれたら痛いこと」などを身に付けて行きますが、人は仔犬に母犬と同じ様に教えていく事は出来ません。
お家の方は、犬に人の手足に遊びでも噛みついてくることは、イケナイ事と教える必要があります。
但し、この時犬を酷く叱ったり、押さえつけたりする事や、犬を叩く事や叩くまねをする事は、やってはならない事です。
人の手足に噛む事は悪いこと、と言うよりも、人の手足を噛むと人に相手にしてもらえない、と言う事を学ばせます。
一方、犬にとって遊びは重要です。
遊びは、肉体的にも精神的にも発散させるために必要です。
この時大切なのは、手足を使わずに、代わりに「噛んでも良い遊び専用のおもちゃ」を通じて遊んであげるようにする事です。
例えば、ロープを結んだおもちゃなどを使って、遊ぶ時間を作りましょう。
「甘噛みをさせない」話の続きとして遊びの話をしていますが、実はこの遊びは、母犬の代わりに遊びのルールを学ばせる事に繋がります。
つまり、何となく引っ張り合いっこをするだけでは無く、お家の方が常に主導権をもって、一定のルールの上で遊ぶことで、お互いの関係を築く事にも関係します。
ここでもう少し注意して頂きたい事。
仔犬でも、成犬でも、遊ぶときはしっかりと犬と向かい合って遊ぶ時間を作りましょう。
それとは逆に、犬のことは全く気に掛けない時間も一日の中で必ず作るようにしましょう。
犬は、精神的な安定の為に、遊ぶ時間意外に一人で落ち着いて過ごす(過ごせる)時間も必要です。
もし、犬から遊びに誘ってきたときなどは、お家の方が「一緒に遊びたい!」と、思うかもしれませんが、
そこをグッとこらえて、むしろクールに振る舞い、犬を無視して下さい。(遊びに誘ってきてもお家の人がかまってくれないと諦めて、静かになっているところを見計らって、かまってあげて下さい。)
犬は、お家の方が「いつも自分のことを気にしている」と思ったり、「いつもかまってもらえる」と思うと、常にお家の方へ期待してしまい、いつも落ちつかない様になってしまうことがあります。
このような状態になった場合、自分が期待している通りにならない事をストレスに感じると、様々な問題行動に関係することもあります。
我慢も「覚えさせる」必要があります。
今回は「トイレのしつけについて」と「甘噛みと遊び方」についてお話しさせて頂きました。
それぞれが、正に「ゴールデンタイムの内に」行って頂きたい事です。
保護犬などで成犬になってからお家に来た場合でも、そこからが「ゴールデンタイム」と言えます。
成犬の場合、それまで過ごして来た経緯などがあるので、その背景も踏まえて対応を考える必要があります。