猫が快適に生活を送るために必要な5つこと その2|ふじみ野市|さくら動物病院

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コラム

猫が快適に生活を送るために必要な5つこと その2

コラム 

猫が快適に生活を送るために必要な5つこと

 

4)人との関係性〜猫の習性を理解した接し方を見直す

 

猫が他の猫や人との関わり(社会的関係性)を、持つか、持ちたいかは、それぞれの猫によって異なって来ます。

これは、個々の猫によって、遺伝的な要因、生まれてから子猫の時期の過ごし方、子猫から成猫までの過ごし方などが、猫の性格や性質に大きく関わっているからです。

つまり、警戒心が強く他者との関わりに慎重であったり、関わりを好まない性質であったり、また、好奇心や親和性が強く、他者との関わりに積極的であったりと、猫によって違ってきます。

ただし、共通して言えることは、
常に、他者との関わりを持つか持たないか、関わりを止めるかは、「猫自身がを決める」という事です。
全てを、猫自身のペースで行いたいと考えます。

この、猫自身のペースで他者との関わりを持つかどうかを決められない場合、猫は強いストレスを感じます。
例えば、猫の意思とは反して、人が近づいたり、他の猫や犬などが周りで行動したりすることによって、ストレスを感じることがあります。
そのことによって、攻撃的になったり、ストレスに関連した病気や問題行動を示す事があります。

触られたり抱き上げられたりする事を好まない猫と、人が良好な関係を持つためにどのように接したら良いか?
常に、こちら側からはアプローチしない、と言う事です。
猫から、近づいてきたら、あくまでも猫のペースに合わせて、接してあげるという事です。

猫はリラックスして相手と良好な関係を望むときに、色んな行動をとります。
例えば、人の手や体に頭や体を擦りつけたり、人の膝の上に乗ってきたり。

猫が自ら接してきたときには、まず、ゆっくりと手の匂いなどを嗅がせ、その後、頭や顔の周辺を優しく撫でるなどを、行うと良いでしょう。

猫によっては、お家の方の身体へ接触はせず、ただ近くに居るだけの交流を好む場合もあります。(撫でたりしようとすると、触られるのを嫌がり、離れていく)

また、別の猫では、もっと積極的な接触、例えば、抱っこやグルーミングなどを好む場合もあります。

つまり、「それぞれの猫に合った、接し方をしてあげる」必要があります。

 

特に、複数の猫がいる場合は、猫によって接し方を変える必要があります。

お家の方との交流を巡って、猫同士の争いがあることがあるので、1頭ずつ個別に接してあげる事が必要な場合があります。

 

子猫の時期に、人に優しくハンドリング(撫でる、抱っこする、等)されることに慣れた方が、その後の生活の中で、人との良好な関係を築きやすいと言われています。

また、同様に、出来るだけ多くの人や、男女、大人や子供、と接した方が良いと考えられます。

但し、逆にこの時期に非常に怖い思いや、嫌な思いをしたことが、その後の猫の記憶に影響することがあります。
気質的に怖がりだったり、臆病な猫は、特にゆっくりと時間をかけて、優しく接してあげた方が良いと思います。

 

 

5) 猫の嗅覚の重要性を見直した環境を考える

 

猫の嗅覚は非常に鋭敏で、様々な匂いから周囲の環境を評価しています。
つまり猫自身にとって、安心で安全な環境なのかを、匂いからも感じ取り、考えています

また、猫は猫同士のコミュニケーションの為や、自分自身の認識の為に、身体の様々なところから出る「フェロモン」を同時に感知しています。

特に、壁などに顔や身体を擦りつけることによるマーキングによって、このフェロモンを環境中に、他の猫や自分自身に対する「しるし」として付けています。

猫は、マーキングによって付けたフェロモンにより、猫自身が安心して生活できる生活空間を確立していきます。

以前のコラムでも触れていますが、人の匂いの感覚は、猫にとっては脅威となる場合があります。
例えば、香り付きの猫砂や、(猫にとっては決して消臭にならない)消臭剤など。

以前のコラムの、トイレにまつわる臭いの重要性を今一度ご確認下さい。

洗濯洗剤や柔軟剤や家庭用クリーナーなどに敏感な猫もいます。

猫が、壁や壁の角、家具などに顔や身体を何度も擦りつけていると、汚れがついてくることがあります。この汚れは猫にとっては重要な目印となっているため、人がきれいに拭き取ったりしないことが重要です。

複数の猫が生活している場合、それぞれの猫やグループにとってのマーキングがあると考えられるので、できる限り余裕を持った生活空間が必要になります。

猫にとって、安定している生活空間において、何かしら異質な匂いを感じて猫が不安に思った時などに、今まで無かった所にマーキング(排泄)をしたり、爪とぎをしたりする事があります。また、トイレの問題にも関連して、尿路疾患を引き起こすこともあります。

 

猫と生活する家族の方は、このような猫の性質と行動を十分に理解し、猫の安心できる空間を損なわない様な注意が必要です。

 

 

前回のコラムから、猫にとって、できるだけストレスが少なく快適に生活する為の、
「5つの必要なモノ」について、お話ししてきました。

猫にとっての必要なモノが損なわれた場合、猫はストレスを感じ、そのことが様々な病気や困った行動に大きく関わることがあります。

それぞれの生活環境を、今一度確認してみて下さい。

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