猫が居る家に、新しく猫を迎える場合に気をつけたいこと
唐突ですが、
動物病院にとって、出来るだけ多くの動物にご来院頂ければ、それだけ病院の収益も上がります。
従って、既に動物が居るお家に、新に動物を迎えて頂く事は、動物病院にご来院して頂く動物の数が増える事に繋がるため、動物病院にとっては望ましい事と言えます。
例えば、既にわんちゃんやねこちゃんが居るお家に、新しく動物を迎える事についてご相談頂いた場合、
「今度、新しく、またネコちゃんを迎えようと思っています。何か注意する事はありますか?」
「それは良かったですね。お家に来たらまず、食事の注意はね、ワクチンやノミダニなどの予防はね・・・」
と、新しく迎えた動物に対する注意点を、お話しすれば良いのかもしれません。
翻って、新しく家族に迎える動物に対して、先住のわんちゃんやねこちゃんの、「気持ち」はどうなのかな? と言う事を良く考える必要があります。
お家の方(人間)としては、新しい動物を迎えても「そのうち皆仲良くなるよね」と、楽観的に考えられている事が多いと思いますが、先住の動物にとっては、そう簡単では無いかも知れません。
今回のコラムでは、特に、「猫」について、新に「猫」を迎い入れる時の注意点をお話しします。
実際に猫を迎え入れる前に、まずは、猫とはどう言う動物かを、今一度おさらいする事が重要です。
確認したい事
1 まずは、今一度、猫という動物の性質を確認しましょう。
2 さらに、新しく猫を迎える前に、先住猫の現在の生活環境を、見直してみましょう。
1、2の事については、過去のコラムでお話ししていますので、出来ればお読み頂けたら幸いです。
コラム 「猫にとっての“ストレス”ってなんだろう?・・・健康的で、快適な環境づくりの為に」
http://www.sakura-ahp.com/2020/02/04/2716/
コラム 「猫が快適に生活を送るために必要な5つこと その1」
http://www.sakura-ahp.com/2020/03/01/2753/
コラム 「猫が快適に生活を送るために必要な5つこと その2」
http://www.sakura-ahp.com/2020/03/28/2779/
もし、生活環境について不十分な事があったら、可能な限り改善しましょう。
お家の方にとって、何が「不十分なのか」良く分からないと言う場合も有るでしょう。
その場合は、動物病院に相談される事をおすすめします。
因みに当院では、「猫の生活環境の問診票」を記入して頂き、ご相談頂いております。
生活環境を見直すことは、結果的に新しい猫を迎え入れ無くとも、現在の猫の生活を改善する為に十分意義のある事と考えられます。
生活環境を見直したら、
・ まず第一に、先住の猫の性格や性質を確認しましょう
普段から警戒心が強く、ご家族とも距離をおいたり、来客等、知らない人に対しては隠れたり逃げ惑う様な事が多い。
窓越しに見える外の猫などに威嚇したり、怯えた様子がある。
等、この様な場合は、新しい猫を迎える事は、先住猫にとってかなりストレスになる事が予想されます。
・ 現在の生活環境の、おおよその広さを考えて見ましょう。(「猫」密度の見直しです)
猫の生活に必要なスペースが、明確に定義されているわけではありませんが、日本の平均的な住宅の広さや構造(2−3LDK?)では、2頭までと考えた方が良いと思います。
理由としては、
猫の生活環境で重要なトイレの個数を、猫の頭数プラス1個として設置するスペースが必要になります。
(理想としては、一頭増える毎に、トイレが2個必要になるという事です)
一緒に並んで寝たりしている猫でも、自分だけのプライベートスペースが必要になります。
また、一緒に生活してみて、どうしても相性が悪い場合は、緩やかな、あるいは完全な住み分けが望ましい場合があります。
以上の事が上げられ、これらの事を考慮すると、それぞれの猫にとっては、できる限り広い生活スペースが望ましいと言えます。
既に、平均的な広さの住宅に、3-4頭の猫が一緒に生活しているケースは珍しい事ではないかもしれません。
「皆、仲良くやってるよ」 「何も問題無いと思うけど」 と言う場合も有るかも知れませんが、
本当の「猫達の言い分」は、人間が考えている事とは違っているかも知れません。
仲良くやっている様に見えることは、個々の猫の生きる術で、実際には、ストレスを抱えている場合が少なくはありません。
□ 猫にとって、生活環境で必要な物
□ 猫の気質
□ 生活する為の適度な広さの確保
それぞれ、確認出来たでしょうか?
猫を迎える場合の実際的な注意点は、次回のコラムでお話しします。