突然ですが、「香害:こうがい」についてご存知ですか?
突然ですが、「香害:こうがい」について聞いた事はありますか?
おそらく、ほとんどの方はあまり耳慣れない言葉かもしれません。
「香害」とは?
香水や合成洗剤、柔軟剤、防虫剤、化粧品、芳香剤等に含まれる合成香料に起因する、様々な体調の変化や健康被害が誘発される現象とされています。
具体的には、様々な「香り」によって頭痛や吐き気、アレルギー症状などが起こったり、また精神的にも不調となる事です。一般に多くは知られていないようですが、潜在的には大きな問題となっています。
「香害」には、原因となる製品に含まれる化学的な様々な成分による身体に対する直接的な作用以外に、強すぎたり、好まない「香り」と言うものに対する嫌悪感も大きく関係しています。
「香り」は人によって捉え方が異なるため、それをストレスと感じる人の精神的な問題を、香りに対してあまり気にならない周囲の人に理解してもらえないと言う事も、「香害」問題の重要な一面と考えられます。
(例えば、職場などで香害による体調不良を周囲に理解して貰えない等)
この「香害」が、動物にもある事を、ご存知ですか?
実際に犬や猫において、実際に高残香性柔軟剤、高残香性洗濯洗剤、香り付きペットシーツ、香り付き消臭除菌スプレー等で、元気や食欲が無くなったり、咳が出たり、また神経症状が現れる事が報告されています。
私自身の診療においても、洗濯洗剤、柔軟剤、家庭用除菌消臭スプレーや芳香剤等が原因と考えられるアレルギー症状や体調不良の患者様を経験しています。
人でも、原因が「香り」や「揮発性化学物質」と言った、目に見えない捉えづらいものであるため、患者さんの自覚症状から診断に至るまで、難しい事が多いようです。
特に動物では、普通に市販されており、お家の方が毎日当たり前の様に使っているものが、まさか動物に影響するとは、ほとんどの方が考えられないために、更に難しい事が多いと思われます。
動物の様々な症状と、お家の方への細かな問診によって、ようやく原因として考えられる事があります。
人で通常使用される様々な製品に含まれる香料や化学物質の規定量*に対して、特に動物は人に比べて身体が小さい分、許容できる量が少ないと考えられます。
*規定量:その製品に含まれる化学物質の量。多くの化学物質は、身体へ与える影響が少ないと考えられる基準量が定められている。人の身体の大きさを基準としているため、元々体の小さな動物には過剰な量になりやすいことが考えられます
また、特に動物は、人に比べて「臭い」に敏感なため、お家の方が普段何気なく使っているものが、知らないうちに動物に影響していると言う場合も考えられます。
そのため、人でも症状と原因がはっきりしない事が多い様ですが、動物でも「何となく調子が悪い」と言うような症状に関係している事が意外と多いかもしれません。
人の感じる「良い匂い」は、動物たちにとっては、残念ながら「我慢させられている」のかもしれません。
生活の中で人と動物がより密接に関わるようになってきている今日において、お家の方のライフスタイルもありますが、「動物と暮らす」いう事を改めて考えて頂けたらと思います。
「香害」と動物の関係について、また、お家の方が使っている様々な製品がどの程度動物に影響しているか疑問に思う方は、是非、お近くの動物病院へご相談下さい。