猫の食事について 2 〜 猫にも「食育」?
猫と言う動物の本来の「食性」を、今一度、確認しましょう。
1 猫は完全肉食動物です
現在、お家で一緒に生活している猫や、外で野良猫として生きている猫も、いわゆる「イエネコ」と呼ばれ、アフリカ北部発祥のリビアヤマネコが元になっていると言われています。人と生活をするようになった現在の「イエネコ」でも、栄養の必要量や消化に関わるしくみから、猫は完全肉食動物と言えます。
「ヤマネコ」の食性は、ネズミやウサギ、鳥、カエルやヘビ、昆虫などを捕食(自分で捕まえて、食べる事を)しています。
余談ですが、一部の地域でイエネコが野良猫となって、その地域特有の稀少動物の生息数や生態系に影響を与えている事もこのような食性が原因となっています。
このようなヤマネコ(同様に野生化したイエネコ)が食べている食べ物(獲物)を、栄養分に分けると、高タンパク質、低炭水化物、高水分となります。この栄養分の比率はとても重要で、後のコラムでも度々触れることでもあるので、よく確認して下さい。
2 猫の「食育」って何?
猫にどの様な食事(キャットフード?)が良いかを、具体的には後のコラムでお話しします。その前に、猫にも「食育」が必要な事を確認しましょう。
前回のコラムで、猫は出来るだけ子猫のうちに、色々なタイプの食事に慣れさせた方が良いお話をしました。これも、人が猫に色々なタイプの食事をあえて与え、食べられる様にしていく「食育」です。
食事を与える時間や回数も、ある程度定めた方が良いでしょう。
野生のネコが1日に何度も獲物を捕らえて食事をする事や、猫の消化管のしくみをから、猫は1日に少量ずつ、頻回、食事を与える方が良いとされている文献等が多く見られます。
実際に、猫が食事を少量ずつ、頻回、食べられると言う事を考えた場合、以下のようないくつかの方法が上げられます。
a. いつでも自由に食べられる様に常時食事を置いておく
b. 一定の決まった量を、1日に何回か与える
c. aとbの混合で与える
a、b、c、には、それぞれメリット、デメリットがありますが、詳細はここでは割愛させて頂きます。
確かに理想は、猫にとって適した新鮮な食事を、少量ずつ頻回に与えられるのが良いとされていますが、多くの家庭において、現実的には難しい面があると思います。
ただし、生まれながらに食べ物の捕獲に1日の多くの時間をかける必要のある、野生のネコと、毎日十分な食事を与えられ、日がな一日ゆったりとした生活をしている家の猫とでは、全く同じではないと考えられます。
結局、どの様な食事の与え方が良いか言うと、
ウエットタイプの食事を、1日2−3回に分けて与え、間で1回少量のドライタイプの食事を与える事が望ましく、現実的と考えられます。
この場合、毎日おおよそ一定の時間に、決まった量の食事を与える必要があります。食事を与える時は、必ず5−10分以内に食べ切る量を与えましょう。
もし食事を残したら、必ず片付けて、食事を出したままにしない様にしましょう。
これも、このような規則的な食習慣を、お家の方の「食育」で、身に付けていく物です。
因みに、キャットフードの容器に表示されている1日量は、あくまでも目安です。(特にドライフードは多くの場合、表示通りに食べていると肥る傾向にあると思います。)
1回に食べきる量が少ないため、実際に1日に食べる量がフードの袋等に表示されている量よりも少なかったとしても、その猫にとっては、十分な量になっていると考えられます。
猫が食事を欲しそうに「ニャー、にゃー」と鳴いたからと言って、それに応じて与えてしまうと、食事に対してとても気まぐれになったり、食ムラに繋がってしまいます。
また、結果として、食べ過ぎとなり肥満にもなります。
また、前述のコラムでも示しましたが、特に比較的若い猫では、「お腹がすいた」と言う空腹のための鳴き方ではなく、「何か獲物を捕りたい」(捕食の欲求)と言うことで、同じ様な鳴き方をしている場合もあります。
この時、代わりに食事が出てくることで、他の様々な要求や欲求が強くなることが多くなります。この場合、別の方法を使って対処する必要があります。
猫の「食育」は、結果として、猫の健康状態を把握するためにも、大切になってきます。
また、病気になったり、加齢や体質の変化があった時には、お薬を飲ませる必要があったり、食事を変更しなくてはならない事もあります。このようなことは、若い時や元気な時にはあまり想像出来ないことだと思いますが、実は、若いときからの「食育」が大きく関わって来ます。
次回のコラムでは、子猫のじゃれつきや甘咬みについてお話します。