猫の食事について 1 〜 はじめが肝心?
前のコラムで、猫の社会化期の時期について大まかにお伝えしました。
子猫の社会化期からの食事の与え方が、その猫が成猫になってからどの様な食生活を送るか、強いてはどの様な(病気も含めた)一生を送るかは、お家の方の「食育」が関係しているというのは、言い過ぎでは無いと思います。
食事の内容や毎日の与え方の前に、猫の離乳時期と、離乳後の食事を「学ぶ」重要性、食事にまつわる「習性」を確認しましょう。
1 子猫は生後3週-4週目から離乳が始まり、6-9週目までに完了します。
離乳開始時はミルクも飲みながら、離乳食(ドライフードをお湯やミルクでお粥状にしたもの)の割合を少しずつ増やしながら切り替えて行きます。離乳が完了する時期でも、直ぐに硬いフードは食べられないため、離乳食から徐々に硬さを増し、少しずつドライフードを食べられるようにしましょう。
また、この時期に経験した食べ物の味覚は、猫の記憶に残り、生涯の味の好みに影響を与えると言われています。これは、後述する「コラム:どんな食事が適しているか」で触れることにも大きく関係するため、社会化期の間に、
離乳食 → ドライフードを柔らかくしたもの → ドライフード で完了
と、単純に進むのでは無く、
離乳食 → ドライフードの柔らかくしたもの → ドライフード
→ 缶詰タイプ(魚、お肉それぞれ) →ドライフードを柔らかくしたもの
→ 硬いドライフード→ 缶詰タイプ(魚、お肉それぞれ) → ・・・
と、ローテーションしながら、色々な味や匂い、食感や形状に慣らしていくことがとても重要です。実際にお家に猫ちゃんを迎える時期は、社会化期の感受性の強い時期をやや過ぎて(9週目以降)が多いと思いますが、離乳後半年位は色々な食事の経験が重要なので、お家に来たその週齢から食べられる物を、上記のローテーションの様に与えて行きましょう。
2 猫ちゃんの「食」(食べる事)には、意外と色々な事が影響しています。
コラムで前述しましたが、猫ちゃんは食事を取るときも、「誰か近くへやってこないか」、「身の危険は無いか」など、人が思っている以上にけっこう気を遣っています。食事を与える場所や周りの状況(人の動きや同居動物の存在等)によって、食事を取ることがストレスとなる場合もあります。
食事を与える場所は、出来るだけ普段から猫が居る場所に近い所で、大きな物音がせず、人通りが無く、子供や他の同居動物などが近寄らない、ゆっくり落ち着いて食事を食べられる場所を考えてあげましょう。
食器なども、子猫の時に慣れたもの以外は嫌う(食べない)こともあります。
猫ちゃんは深い容器で食べる事が苦手な事が多いので、なるべく平たいお皿(陶器など)で、食器の中心に食事を入れた状態で猫が食べるときに、ヒゲが食器の縁に当たらない大きさのものが良いでしょう。
3 猫には食にまつわる2つの習性があります。
社会化期のコラムで示しましたが、①食べ物を捕まえる「捕食行動」と、②実際に食べてお腹を満たしたいための「摂食行動」です。
①「捕食行動」は、言い換えると、獲物を探し出して狩りをしたいと言う欲求です。
①「捕食行動」は、猫ちゃんの元々持っている気質や環境などを考慮する必要がありますが、
食事でお腹が満たされるより、様々な遊びを通して満たされるものです。
お家の猫ちゃんが、「ニャーニャー」と鳴いている様子から、「きっとお腹が減ったんだな!」と思われることが多いと思いますが、この「ニャーニャー」には、上記の①と②の意味合いがある事があります。
この鳴き声を聞いて、①か②か区別をする事は通常出来きません。
いずれにしても、猫ちゃんの鳴き声に応じて食事を与えてしまうことは、食べ過ぎや過度な要求、また目新しいフードじゃないと食べない等の、よくない習慣を付けてしまうことにつながりますので注意して下さい。
以上の様に、「どんなキャットフードがお勧め?」と、言う事もよく聞かれることですが、
何を与えるかの前に、食にまつわる猫ちゃんの習性を確認することは重要な事です。
次のコラム4は、猫の食事について 2 〜 猫にも「食育」? を予定しています。