ワンちゃん
後肢不全麻痺 ジャッキーちゃん(仮名) MIX犬 16歳
既往歴
1年半前位に、右十字靭帯を損傷し他院にて手術
主訴
1ヶ月位前より、後肢の動きが悪い、後ろ足が弱っている。
特に寝ていて起き上がり、動き出してからしばらくの間の動きが悪い。
いつもお尻の方が下がり気味で歩いている。
他院にて、老齢だからしょうがないと言われた。
診察にて
両後肢の神経学的反応の低下 筋力の虚弱
触診にて腰椎の6-7〜仙椎の1-2付近の圧痛(押して痛がる)
時々タンを吐くように咳をするような仕草をする事が日常的にある。
時々軟便や下痢 腰椎の1付近〜仙椎の4付近の毛が薄くなっている。
ハアハアしていることが多く、どちらかというと暑がり。
診断
通常診療としては、腰椎仙椎付近の椎間板ヘルニアや変形性脊椎症からの、神経の麻痺や痛みが主な原因と考えられる。
(ご家族のお考えでレントゲンなどの検査は希望されなかったため、診察のみで考えられること)
中獣医学的診断としては、高齢なため〝気〟の衰えが強いが、その中で消化や身体の中の〝湿や痰〟の動きに関係する脾の弱さと、陰陽のバランスの陰が不足している事などが関係していると考えられる。
治療
鍼灸により、気の衰えを補いまた気や血の流れを整える事で、後肢の力をできるだけ高めるようにした。
実際の治療を行う中で、お灸の施術が難しい状況になったため、代わりに鍼治療とレーザー治療を組み合わせて行うこととした。さらにオゾン療法も追加で行った。
漢方薬は適宜状況を見ながら処方を変えながら投薬した。
経過
徐々に後肢の力が入るようになり、普通に散歩へ行けるようになった。
下痢や軟便も少なくなり、タンを吐くような咳も減少した。
ご家族のお話し
最後は別の理由で亡くなってしまったが、亡くなる前日の朝までは、大好きな散歩へ楽しそうに行けるようになって良かった。