重度合併症の糖尿病から回復し、インシュリンの離脱が出来た猫 その2

プロフィールと既往歴
びびちゃん(仮名) 日本猫 8歳 避妊雌
2歳 膀胱炎 3歳 胃腸炎 7歳 膀胱炎
生活の背景
1歳年上の猫(日本猫、避妊雌)と同居。2年前までは中型犬とも同居していた。
家の中で自由に行動できる状況だったが、同居猫とは一定の距離をおいていた。
同居犬はサークルで生活エリアが区切られていたが、常に犬の存在を意識していた。
主訴
昨晩より元気食欲が無い。最近尿の量が多く、水をよく飲んでいた。
診察にて
伏せ、箱座りの状態でじっとして動かない。重度脱水、削痩
診断
糖尿病性ケトアシドーシス
治療
症例その1と同様に、電解質やミネラル等のモニタリングを続けながら、脱水の改善と血糖値の安定化を行いました。
入院4日目位から少しずつ食欲が出てくれて、徐々に回復して行きました。
食欲がほぼ通常量に回復して血糖値が安定しましたが、自宅でのインシュリン注射の必要量を見定めている間に、インシュリンの必要量が注射器で計れる最小量を下回る事が考えられました。そのため、退院時から自宅でのインシュリン注射を予定していまいしたが、退院時には糖尿病に適した食事のみを続けるようお願いして、インシュリンの注射はしないで経過を注意深く観察することにしました。
経過
退院直後は症例その1でも示したように、自宅での生活へ戻り血糖値が不安定なため、飲水量や尿量と、尿検査用紙による尿糖やケトン体をチェックして頂きました。
前述の様に、退院後の自宅でのインシュリン注射は保留としましたが、血糖値に影響する入院前まで普通に食べていたドライフードやおやつを一切止めていただきました。
また、びびちゃんの過去の既往歴や生活環境を考えると、血糖値に「ストレス」が関係している可能性が考えられました。
そのため、退院後の生活の注意点として、同居猫との関わり方やその他の環境の見直しをして頂きました。
退院時よりインスリンから離脱出来たわけですが、糖尿病が再発することもあるため、適切な食事を継続するとともに、生活環境に気をつけながら、定期検診を続けています。