わんちゃんの暑さ対策??「クールグッズ」に、ご注意を!
暑さ対策のために、さまざまなグッズが販売されています。
中でも最近流行っている保冷用具の中に、潜熱蓄熱材や相交換物質、また相変化熱対策素子等の様々な呼ばれ方をしている「PCM素材」を使った「冷感グッズ」があります。
「PCM素材」は、従来の保冷剤の様に0℃以下に凍結させなくても、素材に設定したある程度の低い温度で、熱を繰り返し吸放出する事で、冷感を保つものです。
中でも、首に巻く(かける)タイプはオシャレで、正に「クール」な感じです。
様々なメーカーから販売されているようですが、わんちゃん用も販売されています。
ここで注目したいのがPCM素材の成分です。
販売されているサイトを見た限りでは、PCM素材の原料や細かな成分の記載はほとんどありません。
あるメーカーの説明には、「植物性のPCM素材のため、安全」と言った記載を見かけます。
しかし、他のあるメーカーでは、「内容物が皮膚に付着した場合は、大量の水と石鹸で洗い流して下さい」等、内容物に刺激性が覗える、取り扱い上の注意喚起を示すものも見られます。
わんちゃんが日々の生活の中で、身の回りにあるものを何気なく咬んだり囓ったりする事は、良くないことですが、珍しいことではありません。
万が一、冷感グッズをわんちゃんが囓って、中身のPCM素材を実際にわんちゃんが食べてしまった時に、前述のように、成分の詳細が不明であるものがあるため、どのような成分が、犬の身体に対してどのような作用を示したり、その結果どのような症状や影響がでるか、良く分からない場合があります。
また、PCM素材を包んでいるカバーを食べてしまった場合にも、具合が悪くなる可能性があります。
実際に、当院の患者様で、冷感リングを噛みちぎって食べてしまった為に、大変な事になってしまった、
わんちゃんのお話しをします。
2.5kgの小型犬です。
ご家族が目を離した隙に、首に巻いてあった冷感リングを自分で外して、噛みちぎり、冷感リングの中身
(=PCM素材)を食べてしまいました。
その後、嘔吐を繰り返し、他院を受診。対処療法にて帰宅。
翌日、元気食欲無し。痙攣発作を起こしました。
他院へ入院し対処療法するも、その後も元気食欲低下が続く。
退院後、当院へ受診。
検査の結果、肺炎が認められました。この肺炎は、様々な原因で起こる間質性肺炎と考えられました。
間質性肺炎は、希に起こる薬剤の副作用として起こる事があります。
その他に、時折発作を伴う神経症状もあります。
これらの症状に、冷感リングの中身に含まれる何らかの化学物質が影響している可能性があります。
現在も通院による治療の継続中です。
暑さ対策でこのような冷感グッズを購入した場合、家族の目の届かない所でそのままにしておく事がないように、十分な注意が必要です。
くれぐれも、わんちゃんが冷感グッズを噛みちぎり、食べてしまわないように、気を付けて下さい。
引き続く、次のコラムで「犬の熱中症」についてお話しさせて頂きます。