皆さんにもっと知って欲しい! 〜 猫のトイレ事情について
声を大にして言いたいこと・・・・、
「猫の『トイレ』について、皆さんにもっと知ってもらいたい!!」
突然ですが、、、
人と一緒に暮らし、家の中だけで過ごしている猫にとって、人が用意した、いわゆる「猫トイレ」は、全て、猫にとっては「仮設トイレ」であることを、ご理解いただけるでしょうか?
じゃ、本当のトイレとは?・・・
本来、猫は外の土や砂がある場所で、周囲に外敵がいないことを確認し、自らが場所を選び、猫がそれなりに落ち着いて排泄が出来る場所を見つけ、そこで排泄をします。
これが、「本来のトイレ」と言えます。
猫は、できるだけ自分の排泄物の形跡を残さない様に、排泄の前に少し凹みを作り、排泄の後は土や砂をかけて、その場を離れます。
それだけに、自分が排泄する前に、他の匂いや何かそこに気になるモノが無いか、など、人が考えている以上に敏感に反応しています。
猫が元々、土や砂で排泄をするという性質を利用して、それに近いものを人が「猫のトイレ」と称して、猫に使ってもらっている、だけなのです。
ここまで読まれた方は、
・・・だから??、・・・・・で? それが何か悪いの? 当たり前の事でしょ?
何か問題でも?と、思われるかもしれません。
猫は毎日、この「仮設トイレ」を使う時に、人が思っている以上に、その性質上、結構色んな事に気を遣っています。
因みに、猫の気を遣う点を、ちょっと考えただけでも、
猫のトイレの置いてある場所は?
トイレの大きさ、形状は?
トイレの砂のタイプは?
同居動物はいますか?
どの位の頻度でトイレの砂を取り替えますか?
トイレの入れ物を、どれ位の頻度でお掃除していますか?
・・・
等々、上記以外でもポイントはいくつもあります。
「猫がトイレに気を遣う」という事を、言い換えると、気に入らない場所では排泄するのをためらってしまう、つまり我慢して過ごしてしまう、という事です。
この事は、結果的に排泄頻度が減ったり、猫にとってトイレがストレスの一つになったり、トイレ以外の場所へ排泄をしたりと、いろいろな問題につながります。
これらのことから、おうちの方が知らないうちに、病気の原因になったり、もしくは病気につながる可能性が高くなっていきます。
さらに、猫には「マーキング」という行動が見られる場合もありますが、トイレ事情と関係することがあります。
実際の生活の中で、毎日の猫の行動や、おうちの方が普通に思っていることでも、チェックポイントはあります。
例えば、
・毎日、トイレで適度な形や湿り気のある便を、(食事に影響されますが)4−5センチ位、1日1回以上、してますか?
・毎日、トイレで、1回につき適度な量の尿を、1日2−3回はしていますか?
・そもそも、毎日の排便や排尿の状況を、十分確認されていますか?
・トイレ以外の場所に排泄したことが、今までにありますか?
・それって、本当にマーキングですか?
・過去に膀胱炎と診断されたことがありますか?
・尿路疾患対応?? 等のキャットフードさえ食べていれば、本当に大丈夫ですか?
・おしっこのpH(酸性やアルカリ性の程度)さえ分かれば大丈夫ですか?
私はトイレマニアではありません。
なぜ、これほど(普通のことで大袈裟では無いですが)トイレの話をするかと言えば、
猫にとって健康に関わる三大要素は、
「食事」、「トイレ」、「ストレス」 と、考えます。
もう少し加えるならば、この3要素は、それぞれリンクもしています。
猫の病気で多いのが、腎臓病です。
「過去に膀胱炎等の尿路系の病気を経験した猫の方が、将来、腎臓病になる割合が高い」、とした報告もあります。
意外と知られてない事かもしれませんが、「人と生活する猫」には、便秘症は珍しくありません。(だから、大した事では無いという事ではありません!)しかも、おうちの方が知らないうちに、場合によっては何年にも渡り、徐々に悪化していき、受診が必要な時は、かなり深刻な事態になっていることが多いです。
これらのことは、おうちの方が少し考えて頂く事で、予防できたり、改善出来ることになると思います。
・・・・・。
今一度、想像してみてください。
もし、ご自分が毎日トイレを使う場合、何かしら気になる事でトイレをためらわなくてはならない様なことがあったとしたら、・・・。
当たり前のように、思っていることが、猫にとっては、当たり前では無いかもしれません。
少しでも気になる事や、疑問に思うことがあれば、必ず動物病院へご相談ください。
尿検査も大事な検査ですが、その前に、「トイレの健康診断」をお勧めします。
次回のコラムでは、実際のトイレについて、もう少しお話しさせて頂きます。