動物と新型コロナウイルスの関係について・・・思うこと|ふじみ野市|さくら動物病院

さくら動物病院

コラム

動物と新型コロナウイルスの関係について・・・思うこと

コラム 

動物と新型コロナウイルスの関係について、発表されている情報と、個人的に考える事をお伝えいたします。

 

私が知り得る、最近の動物と新型コロナウイルスに関係する情報として、

日本時間9月12日付けのニュースで、モンゴルのウランバートルのビーバー繁殖施設で、ビーバーへの感染が確認されました。飼育員からの感染の可能性があるようです。

日本時間9月17日付けのニュースによると、アトランタの動物園で、ゴリラに新型コロナウイルスの感染が確認されました。

日本時間9月18日付けのニュースによると、ワシントンDCの動物園で、ライオン、トラに新型コロナウイルスの感染が確認されました。

ライオンやトラへの感染経路は不明との事ですが、ゴリラへの感染はワクチン接種済みの飼育員から感染したとのことです。

 

今までに動物への新型コロナウイルスの感染について報告されている事例としては、
犬、猫、ミンク、フェレット、ハムスター、カニクイザル、アカゲザル、フルーツコウモリ、
(実験的感染例も含む)等への感染が報告されています。

日本においては、犬への新型コロナウイルスの陽性例が報告されていますが、いずれも症状を示しておらず数日以内に陰性になっています。

 

農水省発表の資料によると、
ヒトにおける新型コロナウイルス感染は、ヒトの間のみで起こっていて、動物からヒトへの感染がパンデミックに起こる事は原則ありません。
但し、海外において非常に濃厚な接触によって、動物からヒトへの感染と考えられる事例(ミンク農場)があります。

これらの事から、感染者でも非感染者でも、日頃から愛玩動物やその他の動物との濃厚接触を、
控えるようにしましょう。
ただし、動物を必要以上に怖がったりする事や、過剰に消毒しすぎる様な事には注意しましょう。

 

ここで改めて、新型ではなく従来から存在している「コロナウイルス」について確認してみましょう。
(ココでは分かり易いように、ウイルスの亜科、属、種、等細かな分類は割愛しています)

コロナウイルスには、

・猫コロナウイルス

・犬コロナウイルス(胃腸炎型、犬呼吸器コロナ)

・豚コロナウイルス(伝染性胃腸炎、流行性下痢、血球凝集性脳脊髄炎)

・馬コロナウイルス

・ミンクコロナウイルス

・コウモリコロナウイルス(多種)

・マウスコロナウイルス(肝炎)

・ラットコロナウイルス

・ハリネズミコロナウイルス

・SARS関連ウイルス

・MERS関連ウイルス

・鳥コロナウイルス(多種)

・人コロナウイルス(299E,NL63,OC43、腸内コロナ,HKU1, SARS, MERS)

・・・かなり省略していますが、細かくはもっと多くの種類があります。

自然界においては、これだけ多くの動物種(人類もふくめた)にコロナウイルスは存在しています。
中でも人のコロナウイルスが意外と多いと思いませんか?

比較的新しいMARSやSARS(1)ウイルスは病勢が強く、広範囲に蔓延する前に収束しましたが、多くの人コロナウイルスは自然界に普通に存在しています。

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の真の起源については米国で現在も調査中ですが、これだけ世界中に蔓延した現状を考えると、SARS-CoV-2も従来からのコロナウイルスと同様に自然界、特に人類の間で広く存在するコロナウイルスの1つとなっていると考えられます。

 

コロナウイルスと言えば? 多くの方が、「ワクチン」を連想されると思います。

豚や牛のコロナウイルスに対するワクチンは、豚や牛が産業動物という意味において、
経済的には一定の効果を示しています。

犬の主に胃腸炎型のコロナウイルスに対するワクチンはありますが、効果については議論されています。

猫のコロナウイルス感染症の中で、猫伝染性腹膜炎という病態を示すタイプのウイルスがあります。
一度発症すると治療が非常に困難な病態となるため、10年以上前からDNAワクチンやmRNAワクチンの開発研究が進められて来ましたが、有効性と副作用など様々な問題から未だ実用化に至ってないのが現状です。

最近、「新型コロナウイルスに対する」犬用や猫用のワクチンはありますか? との、
お問い合わせを頂く事があります。
現在、日本国内において「新型コロナウイルスに対する」犬猫および他の動物に対するワクチンは、
存在しておりません。

 

海外と日本での、動物用の新型コロナウイルスワクチンについて

米国の動物園では動物への新型コロナウイルス感染を予防する為に、
「動物用の新型コロナウイルスワクチン」が接種され始めています。
しかしいつから、どのように開発されたのか? どのようなワクチンなのか?等の詳細は勉強不足のため、
まだ良く分かりません。

米国より早い時期に、ロシアでは世界に先駆けて動物用の新型コロナウイルスワクチン(不活化ワクチン)の
接種が始まったと報じられていました。その後の動物の感染状況等は分かっていません。

前述したように現在の所、新型コロナウイルスが動物に感染する事について、動物から人への感染等も含めて大きな問題になっていません。その為、日本国内においては動物用の新型コロナウイルスワクチンが導入される可能性は限り無く少ないと考えられます。

 

現在そして今後、新型コロナウイルスと、動物と人との関係で最も懸念されている事

新型コロナウイルスが動物と動物の間で感染する中で変異を繰り返した後に、新たな病原性を示すタイプの新型コロナウイルスが人に感染するようになるかどうか、と言う事です。
(*ご注意:既に人に対してその様な感染が起こっていると言う事ではありません。)

その為、日本に比べて遙かに人の感染者数が多い諸外国において、今から出来るだけ動物への新型コロナウイルスの感染を防ぎ、動物の間でも新型コロナウイルスの感染を防ぎたいと考え、「動物用の新型コロナウイルスワクチン」が投入されたと思われます。

 

 

コロナウイルスについて改めて考えて見ると・・・
コロナウイルスは、生物としての人類や、野生動物も含めて自然界に広く分布しています。

コロナウイルスの一種でも、未知のコロナウイルスの方が多く存在しているとも言われています。
更に、コロナウイルスは変異が起こりやすく、新型コロナウイルスでも発生当初から細かな分類としては
既に何千種以上へと変異していると考えられます。

また、コロナウイルスは変異と種類が多い為か、人や動物の免疫に対して抵抗性を示したり、時には免疫システムの中に上手く入り込む性質を持っています。

 

現在、「最先端の技術を持って作られた」と鳴り物入りで登場した、人に対しての新型コロナウイルスの
ワクチン(mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチン等)ですが、既に多くの課題が山積しています。
(私の様な素人があえて言うまでも無く、コロナウイルスの性質と免疫システムの関係について、学問的にしっかりと検討されている研究者の間では、発生当初から当然の如く懸念されていた事と思いますが。)

 

確か、アトランタの動物園でのゴリラの感染は、「ワクチン接種済みの飼育員から感染した」と、
伝えられていた事を思い出しました。

 

自然界において、人類とコロナウイルスの関係性についてどのように考えて行くか、
今一度冷静に向き合って行かなければならない局面を迎えていると思います。

 

 

世界中で、新型コロナウイルス感染による重症患者様に直接寄り添い、
献身的に働かれている医療従事者の方々へ心より深謝致します。

新型コロナウイルス感染によってお亡くなりになった多くの方々へ、心よりご冥福をお祈りいたします。

また、無念にも、新型コロナウイルスワクチンの副作用によって、お亡くなりになった方々、特に医療従事者の方へ、心より哀悼の意を表します。

ページトップへ戻る